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Vol.02 GSA(ジオスペースアドベンチャー)篇

ホトンくん、神岡鉱山の地中を探検!の巻 

GEO SPACE ADVENTURE

GSA(ジオスペースアドベンチャー)は、岐阜県飛騨市神岡町にある「神岡鉱山」で毎年夏に行われるサイエンスイベント。2015年7月17~18日に開催されたGSA2015に参加した様子をレポートするね!

神岡鉱山は、今は鉱石等の大規模な採掘作業は終えているけど、自然放射線の影響が最小限に抑えられる環境と膨大なスペース(坑道)を活かして、「宇宙物理実験施設」として蘇ったんだ。現在は、東京大学宇宙線研究所の神岡宇宙素粒子研究施設などが設置されていて、ニュートリノや暗黒物質など最先端の宇宙物理学の研究が行われている。

とくに、1983年から観測が始まったカミオカンデ実験施設では、1987年に大マゼラン星雲で起きた超新星爆発によるニュートリノを検出したことで、小柴昌俊・東京大学特別栄誉教授が2002年にノーベル物理学賞を受賞していて、科学が好きな人ならぜひ行ってみたい!スペシャルなスポットなんだよ。

神岡町ってどんなところ?

岐阜県飛騨市神岡町は古くから鉱山で栄えた静かな城下町。街の中央を流れる高原川沿いに、神岡鉱山のうち茂住鉱のある池ノ山(標高1,369m)がある。この山中で行われる地中探検ツアーがGSAだ。時間があれば神岡の街を散策するのもおすすめだよ。

   

神岡城

神岡城から市街地の眺望。撮影時は4月だったので正面の山に雪が残っている。

地元では「幸せの六叉路」と呼ばれている奇跡的なアングルを持つ交差点。

GSA2015、坑内探検ツアーに参加

まず、神岡町公民館に集合して参加受付を済ませる。真夏の7月だけど、神岡鉱山の坑内は年間を通して気温が14℃前後。だからみんな防寒用の上着を用意しているよ。

   

受付場所となる神岡町中央公民館。「GSA実行委員会」という飛騨市の市民を中心としたボランティアスタッフで運営されている。

 

 

公民館横のバス乗車場。参加者は小学生からご年配までさまざま。ぼくは、1日に8便あるコース中の一番早い朝7時の組に参加したよ。

マイクロバスに乗り込み、地下空間の入り口である跡津坑口まで移動。バスの中では、ツアーコンダクター(ボランティアスタッフ)の方から坑内での行動ルールなどの説明を聞く。

跡津川沿いにある、跡津坑口に到着。いよいよ坑内に入るぞ!空気もヒンヤリとしてちょっと寒いくらい。

いよいよ地下世界、神岡鉱山へ

跡津抗口で坑内専用の低公害車に乗り換えて、いよいよ坑内へ。この坑道は池ノ山の山頂直下から1,000mの地中にある。山の内部の奥深くに車で入っていくなんて、なかなかできない経験だよね!

   

跡津坑口から水平に約1,500m進んだところで下車!そして坑道を徒歩で移動。

途中、全員の懐中電灯を消してみるというアトラクションもあり、地上では経験できない真の漆黒に包まれ、まさにアドベンチャー、な雰囲気!!

神岡鉱山についたよ。神岡鉱山の歴史は古く、なんと奈良時代から採掘が行われ、主に亜鉛、鉛、銀鉱石を産出していたんだって。

江戸時代の採掘を再現した寸劇もあって、GSAボランティアスタッフによる熱演!?も!(寒いけどボランティアスタッフにとっては人気のお仕事なんだって!)

神岡鉱山、掘削重機の迫力!

つづいて、神岡鉱業の社員さんによる掘削重機の実演と説明。ふだん、見たこともない重機がかなりの迫力で登場!現在は鉱石の大規模な採掘は行われていないけれど、新たな実験施設の建設や拡充のための掘削作業は行われていて、もちろん重機も現役だ!

   

これはロードホウルアンドダンプという重機。坑内用だから背が低いんだね。

運転席に乗って記念撮影も。坑内での特別な体験に、大興奮!

ハッパを仕掛けるために岩盤に孔を明けるドリルジャンボという重機。

ドリルジャンボによる孔明けの実演。硬い岩盤に、あっという間にこんな孔が明く!ここにダイナマイトを装薬して、ハッパするんだね。

ニュートリノ研究の最先端、スーパーカミオカンデへ!

再び坑内を歩いて、今度は東京大学宇宙線研究所の研究施設、「スーパーカミオカンデ」に移動。スーパーカミオカンデは、5万トンの純水が入る直径40m、深さ41mの円筒形タンクでできた観測装置。タンクの内側全ての面を直径20インチ(約50cm)の光電子増倍管と呼ばれる装置で取り囲んでいて、宇宙空間から飛んでくるニュートリノを観測している!

   

スーパーカミオカンデの概念図。GSAでは坑道から実験区域内のタンク上部を見学できる。

人気のない坑道。山の地下水によって道や壁が濡れているね。この豊富な地下水で、スーパーカミオカンデのタンクの中に入れる純水をまかなっているんだよ。

スーパーカミオカンデ実験施設の入り口に着いたよ。

ビデオで、スーパーカミオカンデの施設や実験内容についての解説を見せてもらったよ。後ろの壁には見学に訪れた著名人のサインがギッシリ!まさに、世界中の注目を集める研究の現場といった感じ!

タンクの天井部を見学。自分が立っている足元では、5万トンの水と光電子増倍管(素粒子を検出するための超高感度な光センサ)で研究の真っ最中!想像しただけで、すごくワクワクしたよ!

スーパーカミオカンデのタンクの中、とっておきの写真

残念ながら、スーパーカミオカンデは実験中だから、タンクの中に入ったり、中を覗くこともできないよ。でも実はぼくは、タンクの中に入ったことがあるんだ!(2006年に、タンクのメンテナンスの時に特別に入ることができたんだ。)その時に撮った写真を見せちゃうね。

   

これがスーパーカミオカンデのタンクの中だ!ハッチを開けて上から覗いたところ。はるか下まで深くて、こわ~い!?この時は、水の量が少なくて、タンクの底から2m位の深さまで減らしてあったんだ。

タンクの壁面にびっしりと取り付けられた光電子増倍管。一つ一つは直径20インチ(約50cm)もあるから、本当に大きな空間だってわかるでしょう?

タンクの底面。透明な水面に壁面の光電子増倍管が無数に映っていて、とても幻想的。

GSAでは、東京大学の先生によるニュートリノに関するプレゼンテーションがあって、なぜタンクを開けて覗く事ができないかの理由も分かるよ。どんな質問にも答えてもらえるから、とても興味深く、勉強になったよ。

GSAイベント終了

坑内の見学が終わったら、シャトルバスで神岡公民館へと戻る。公民館のホールでは、鉱山内にある別の観測施設「カムランド」についてのプレゼンテーションや、鉱山を運営する神岡鉱業株式会社、スーパーカミオカンデで使用される光電子増倍管を作っている浜松ホトニクス株式会社の展示も。貴重な鉱物や光電子増倍管などを実際に間近で見ることができたよ。

   

坑内専用車両で、鉱山の外へ戻る。

GSAのロゴがバッチリ入ったオフィシャルヘルメット、軍手、懐中電灯、パーカーなどのグッズや、「暗黒まんじゅう」「鉱物まんじゅう」「赤ふんラーメン」「暗黒ラーメン」などのお土産販売も。どれも気になるものばかり!

帰り道、夕暮れの西里橋、その奥に神岡城。あ~、楽しい1日だった!

GSAや、スーパーカミオカンデなどの詳しい情報は、こちらのウェブサイトで見てね。

GSA [GEO SPACE ADVENTURE] http://gsa-hida.jp/
東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/
飛騨市 http://www.city.hida.gifu.jp/
宇宙まるごと創生塾 飛騨アカデミー http://www.hida.academy/index.html