ホトンくん、「自然のしくみの偉大さ、科学の偉大さにわくわく!」の巻
望遠鏡で地球の外の世界をぐんぐん遠くまで見ていくような研究から、顕微鏡で身の回りの世界を作る物質の中身をぐんぐん細かく見ていくような、分子、原子、さらに素粒子の研究まで。
宇宙、物質、生命… この世界がどのようにできているのかを解明しようとする科学の挑戦を、国立科学博物館「地球館」の地下3階、常設展「自然のしくみを探る」で見ることができます。
これらの研究には、「光」がとても役に立つ道具として使われているのだそうです。展示の一部をレポートします。
国立科学博物館には、とてもたくさんの興味深い展示があって、示唆に富んだ解説を読むと、好奇心がどんどん大きくなるのを感じたよ。
国立科学博物館の外観。「日本館」「地球館」にわくわくするような展示がいっぱい!
「地球館」の地下3階にある「自然のしくみを探る」ゾーン。世界の成り立ちを知ることのできるさまざまな展示。各所に映像の解説もあって分かりやすい
日本人のノーベル賞受賞者(自然科学系)や、科学の発展に貢献してきた科学者を紹介するコーナー。偉大な人たちの、印象的な言葉や、研究ノートなど 個性や創造性をテーマとした展示。
「宇宙を探る」コーナーで太陽系について解説したコーナー。月の石や、隕石などの展示もあるよ。
「ナノの世界を探る」コーナーで塩化ナトリウム(食塩)の結晶について解説したコーナー。X線を使って初めて結晶構造を明らかにした例なんだって。
いろいろなものを測る「単位」ってどのように決められるんだろう?
科学の世界では、正確にものごとを「測る」ことが基本となります。「法則を探る」コーナーでは、長さ、重さ、時間など・・・・ものを測るときの基準はどのように作られてきたのかを見ることができるよ。
ものの「単位」はどのようにして決められてきたんだろうか?それぞれ、いろいろな時代背景が関係しているようだよ。
はじめての世界共通の単位は「m(メートル)」だったんだって。最初は地球の極から赤道までの長さを測って、その1000万分の1の長さを「1m」とした。その後、より正確にするために、現在では光の速さを基準として「1m」が決められているんだって。
温度を測るということ。それはドイツの製鉄所で、良い鉄を生産するために、温度管理が求められるところから始まったのだそう。熱やエネルギーについての研究から、プランクの「量子」という考えが生まれた。それまでの自然の見方を根本から変えてしまうような革命だったんだって。
光の速さは、1876年にはじめて計測されてから、さまざまな測定装置や技術が試されたんだって。1983年には、真空中の光の速さが「299,792,458 m/秒」であると決められた。写真は光の速さをもとに距離を測る「ジオジメーター」と「光波距離計」。
ふだん、あまり意識することがないかもしれないけれど、「重力」もふしぎなものだ。あらゆる物体の間にあって、とても弱い力なんだけど、さえぎることはできず、何もない空間の中をどこまでも作用する。とても興味のわく解説だったよ。
素粒子って、信じられないくらいおもしろそうだ。
この宇宙に存在するすべての物質のもと、「素粒子」に科学のスポットが当たっているよ。私たちの目には見えない、まるで想像のような世界だけど、いろいろな理論や実験から、その存在が確かめられたり、新しい真実が見つけられているんだって。
素粒子の世界を探るための実験、KEKB加速器とBelle測定器の紹介。
2008年の小林誠さん、益川敏英さんのノーベル物理学賞受賞につながったBelle実験の装置。「CP対称性の破れ」という理論を、この装置による実験で証明したんだって。
Belle検出器がとらえた、粒子の飛跡の例。曲がった線から粒子の運動量や電荷を知ることができるんだって。これを考えることに情熱を注いだ科学者たちは、本当にすごいなぁ!
素粒子「ニュートリノ」を観測するスーパーカミオカンデと、タンク内に取り付けられた光電子増倍管の展示。この実験ではニュートリノが質量をもつことが明らかにされたんだって。
この「霧箱」で、素粒子が飛んでくる様子を見れる!?箱の中をのぞくと、小さな気泡でできた筋がもやもやと動いていて、すごく不思議。説明を読むと、宇宙線や、電子や陽子が霧箱の中で反応して、それぞれ違った筋を描いたりしているんだって。実感するのはすごく難しいけど、本当に素粒子は、この世界に飛び交っているんだ、おもしろいなぁ!
宇宙はどのようにできているのか・・・?宇宙の旅を楽しんでいるような空間
宇宙はどのようにできているのか。スケールごとにいろいろな構造を展示・解説したコーナーだよ。ぼくたちのいる地球や、太陽系のお話から始まって、ぼくたちが空を見上げて見える星、さらに銀河、銀河団など。さらに宇宙の始まり「ビッグバン」のお話まで、宇宙旅行してるような気持ちになったよ!
1600年代に、はじめて宇宙をのぞいたガリレオ・ガリレイやニュートンの望遠鏡(レプリカ)。400年経った現代では、光学望遠鏡から電波望遠鏡、また天文衛星や地中で宇宙線や素粒子を観測する装置なども、宇宙を見る「眼」だ。いろいろな光や電波、素粒子などを観測することで、今までに見えなかった新しい宇宙の姿が、どんどん明らかにされているよ。
ぼくたちのいる銀河系の姿を立体的に見れる模型。赤外線や電波を利用して、遠くの星やガスまで観測することで、この姿を明らかにすることができた。
ハワイ島・マウナケアの山頂にある国立天文台すばる望遠鏡。一枚鏡としては世界最大の口径8.2m。宇宙のガスにじゃまされない赤外線を使って、より遠く、詳しく宇宙を観ることで、宇宙の始まりや膨張の歴史を探る観測を続けているんだって。いつか行ってみたいなぁ!
天の川に望遠鏡を向けて、天体を見ることができる展示。さまざまな光(波長)で見た画像に切り替えることができる。光(波長)のそれぞれの特長を使って、天体のいろいろな姿を発見することができているんだね。
物質をどんどん細かくしていくと、そこにはどんな世界があるんだろうか?
私たちの体も、自然も、地球も、宇宙もすべては「物質」からできている。では、この「物質」をどんどん細かくしていくとどうなるだろうか?
分子、原子、素粒子・・・物質の成り立ちをいろいろな方法で理解することによって、私たちは物質をうまく利用して、豊かな社会を築くことができるんだ。
この世界にある物質は、すべて118種類の元素からできている。その周期表と元素の実物を展示したコーナー。2019年は、元素に周期性があることを、メンデレーエフが発見してから150周年を祝う「国際周期表年」ということで、この展示にも大注目です!
元素記号を使って描かれた、アリスの絵。驚きに満ちた「不思議の国」に行ってみたくなるような絵だね。150年前に、この世界の物質に規則性を持った小さな世界があるなんて秘密を知った科学者の気持ちを想像してみると、本当に科学って夢があるなぁ。
ものの性質を決めている一番小さな単位が「分子」。たったの118種類の元素が、バリエーションに富んだ結びつき方をすることで分子の多様性が生まれる。そしてその多様性は、光を用いることで、調べることができるんだって。
原子の性質を決める電子の雲の模型。原子核も電子も見たことがないけど、こんな風になっているんだね。
現在の私たちは多種多様な物質を生み出すこともできるけれど、同時に地球環境へ負荷を与えてもいる。これから持続型社会をつくっていくために、もっとさまざまな知恵を出し合って挑戦していくことが求められている。科学の世界には、おもしろくて、やりがいのある仕事が無限にあるんだなぁ!