光をつくる・測る・操る
私たちの身の回りにあるテレビや電子レンジ、携帯電話にコンピュータ。
便利な自動ドアやATM、自動販売機や自動車などなど。
みんな光のテクノロジー(フォトニクス)が使われた精密な装置や部品でできています。
では、フォトニクスとはどんなものでしょうか? 基本となる「つくる」「測る」「操る」のキーワードで見ていきましょう。
光をつくる
私たちは、物の製造や検査、医療、分析、情報通信など暮らしのいたるところで光を利用しています。
しかし、光は箱に入れて保存したり、かばんに入れて運んだりすることはできません。使いたい時に、使いたい光を生み出す必要があります。では、光はどうやってつくるのでしょうか?
光は電磁波と呼ばれる電場と磁場が結びついた波のことです。このような波は電子を運動させることでつくれます。たとえば、加速器という装置で電子を運動させてつくるのが放射光で、さまざまなものの分析や材料の開発などに使われています。
明かりとして古くから使われていた白熱電球などの光は、熱によって原子や分子の中の電子をゆらすことでつくられます。
また、外からのエネルギーによって原子の中の電子のエネルギーを変化させる方法でつくられるのがLEDの光やレーザ光で、照明やディスプレイ、製品の加工から病気の治療、また最近ではプロジェクションマッピングなどの芸術分野にいたるまで、さまざまなところで利用されています。
光を測る
ものから直接出てくる光や、ものに光を当てて反射・散乱したり透過したりした光を測ることで、私たちはいろいろなものの大きさや色、距離、成分、状態や特性など、さまざまな情報を取り出して利用しています。
光を測る技術は主に、光センサという受光デバイスとしていろいろな装置に組み込まれています。光センサで光を測る代表的な方法は、光を電気に変えて電流を測ることです。光を電気に変えることを光電効果と呼びますが、これを示す物質として、「光電面」や「半導体」が使われています。
光を操る
光は反射・屈折などの性質を持つため、鏡やレンズ、プリズムなどを使って進む方向を変えることができます。私たちはこのように、光の進む方向を制御したり補正したりすることによって、より有効に光を利用しています。みなさんがきっと毎日使う鏡も、光の進む方向を180°変えて自分の姿を映すシンプルな光学器と言えます。
またカメラや、私たちの目で「ピントを合わせる」作業は、レンズ(水晶体)に入った光を屈折させることで1点に集め、正しく像を結ぶために行われます。
最近では、空間光変調器という装置を使って光のパターンを作り出したり、フォトニック結晶やメタマテリアルなどの人工の物質を使って、これまでの常識を超えて光を操ることができるようになり、光の新たな制御方法として注目されています。