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学術研究や産業から、文化・芸術まで。未知未踏の原野に立ち向かう光の達人、それが“ヒカリスト”。 そんなヒカリストたちが語る最新の光技術と、彼らが照らし出す未来を紹介していきます。
2003年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」は想定外のトラブルの末に2010年6月、小惑星イトカワで採取した微粒子とともに地球に帰還した。続く2014年には後継機である「はやぶさ2」が打ち上げられ、6年後、小惑星リュウグウの内部物質を持ち帰った。これら未知なる物質の分析には、高度な技術が必要とされた。その仕事の一端を担ったのが、今回のヒカリスト上杉健太朗先生。世界最高性能の大型放射光施設SPring-8で、ゴムや金属などの材料から岩石・鉱物、動物にいたるまでのあらゆる分野の研究に伴走する分析・実験のプロフェッショナル、その日々について伺った。
上杉 健太朗 Kentaro UESUGI 公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI) 放射光利用研究基盤センター 散乱・イメージング推進室 主席研究員・コーディネータ
直径68m、深さ71m。岐阜県の神岡鉱山で宇宙を観測する超巨大水槽の建設が進んでいる。名前はハイパーカミオカンデ。ノーベル賞受賞につながったスーパーカミオカンデの約5倍の超純水をたたえ、超高感度センサ(光電子増倍管)4万本が、大統一理論が予言する陽子崩壊の瞬間をとらえようと待機する。2027年の完成を目指し、建設が進むハイパーカミオカンデ、その実験代表者となったのは、素粒子研究一筋の半生を送られてきた塩澤 眞人先生。世界を揺るがすかもしれないビッグプロジェクトに、どんな心持ちで挑んでいるのだろうか。
塩澤 眞人 Masato SHIOZAWA 東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 施設長 教授
東京大学柏キャンパスにあるカブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU:Kavli Institute for the Physics and Mathematics of the Universe)。その起ち上げをした村山斉先生は、素粒子物理学者であり、すばる望遠鏡を用い最先端の科学で宇宙の謎に挑む研究チームの中心研究者でもある。アメリカと日本を行き来しつつ研究活動を進めながら、各地での講演をこなし、テレビ番組に出演したり、全国紙に記事を連載したりとその活動は多彩。宇宙の謎を解き明かすサイエンスの最前線と、バイタリティあふれるお人柄の背景を聞いた。
村山 斉 Hitoshi MURAYAMA 東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究者・教授・浜松プロフェッサー
ヨーロッパでは、中学生が一人であるいは2,3人のグループで実験をしながら光工学(以下フォトニクス)を学べるキットが配布されている。このキットの開発と普及を強力に推し進めている、ベルギーのブリュッセル自由大学副学長を務めるヒューゴ・ティエンポン先生。フォトニクスの黎明期より、その可能性を信じて、エンジニアの育成と産業界との連携を進めてきた人物だ。ベルギー発、フォトニクスをめぐる熱い活動に光を当てる。
ヒューゴ・ティエンポン Hugo Thienpont ブリュッセル自由大学副学長 フォトニクスチーム(B-PHOT)ディレクター
絶対に負けないじゃんけんロボット、高速に動く物体に追従した映像のコントロール、1分間に250ページの本のページをスキャンしてしまうマシン...。超高速の画像処理技術を使った“変なもの”・”見たことのないもの”を生み出し続ける、東京大学の石川正俊先生をクローズアップ。キャッチアップの時代が終わった今、必要な”POC (Proof of Concept)”という社会への問いかけとは。
石川 正俊 Masatoshi ISHIKAWA 東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻・システム情報学専攻教授
レーザの黎明期から半世紀にわたり、その進化・発展の流れを乗りこなしてきた加藤義章さん。レーザを使った分光計測技術の研究者からレーザ核融合のプロジェクト責任者、そして現在はレーザー学会と光産業創成大学院大学のトップとして、学術分野での研究開発と産業分野での起業・人材育成まで俯瞰する立場へ。その歩みを紹介する。
加藤 義章 Yoshiaki KATO 光産業創成大学院大学 学長 レーザー学会 会長
光の粒のひとつひとつを体感する。そんな不思議な感覚をアートで表現した作品を発表している美術作家の安藤孝浩さん。PMT(光電子増倍管)を使ったフォトンカウンティングという技術をアートと融合させた。その世界は生物の営みから、宇宙、時間の営みへまで。広がりつづける表現の行方にせまる。
安藤 孝浩 Takahiro ANDO 美術作家
人間が健康診断を受けるように、植物の健康状態も調べられたら─。 これまではベテランでも難しかった植物の健康診断に、光技術で取り組んでいる研究者がいる。実用化というゴールに向けた道のりはまだ遠いというが、もう、その道筋ははっきり見えているようだ。
秋草 文 Aya AKIKUSA 浜松ホトニクス中央研究所 第8研究室
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